プロレタリア国際主義の道を歩む
『思想運動』発刊一〇〇〇号を迎えての決意


 全世界的なベトナム反戦闘争の高揚と学生の反乱という、一見華やかな「政治の季節」の謳歌。しかしその基底では確実に労働者階級の階級意識の解体・風化が進行している。わたしたち〈活動家集団 思想運動〉は、こうした危機意識の下、一九六九年三月に出発しました。
 そして活動の基軸を「革命的ジャーナリズム」の創出におき、新聞『思想運動』を一九六九年六月にブランケット版(普通の新聞紙の大きさ)一〇頁の準備一号として発刊し、その後七二年十二月号から月刊のタブロイド版(普通の新聞紙の半分)に、七四年一月号からは一日、十五日の月二回刊・八頁だてに移行し、今日、一〇〇〇号を迎えました。
 七五年十月には、姉妹誌として雑誌『社会評論』を創刊、当初は隔月刊で一一七号からはクォータリーに移行、現在まで一八八号を刊行しています。また二〇〇〇年四月からは、会外の多くの方がたの協力を得て本郷文化フォーラム・ワーカーズスクール(略称=HOWS)を出発させ、その講座内容は新聞・雑誌の重要な柱として活用されています。
 〈思想運動〉の出発時に、わたしたちは、「現代世界は資本主義から社会主義への全世界的移行期にある」という認識に立っていました。そうした世界構造認識の下、「社会主義国の人民、先進資本主義国の労働者階級、民族解放闘争を闘う諸国人民、この三大革命潮流が団結すれば、帝国主義者の戦争と抑圧の手を縛り、社会主義革命を前進させることができる。そしてその世界革命=反帝闘争の最前線で闘うベトナム、朝鮮、キューバの闘いに学び、連帯して、日本国内の社会主義革命の実現に寄与する」。わたしたちは自らの理念と行動をこう規定しました。この原則的立場は、ソ連東欧の社会主義体制の解体という痛恨の事態の発生にもかかわらず、いまも揺るぎません。
 一九六九年六月刊の『思想運動』準備一号の一面は、A(阿波根昌鴻)さんに宛てた、書簡形式の佐々木辰夫「沖縄闘争の原像――むぬくいしどわがゆしゆ」です。このなかで筆者は、本土革新陣営(みずからの力不足を含めて)の沖縄反基地闘争への責任回避、欺瞞、頽廃を厳しく指弾し、沖縄県民の闘いへの真の連帯の必要性を力説しています。
 また、八月刊の準備二号の一面には、「日朝両国人民の階級的・国際的団結を求めて」李鶴奉・小林勝の〈往復書簡〉を掲載し、二面から三面にかけてはシンポジウム「日本労働者階級の任務」を実施・記録しています。会発足以来、わたしたちは、「日朝人民の階級的連帯の実現は、日本労働者階級のプロレタリア国際主義の試金石である」と把握し、朝鮮の反帝・反米・自主的統一闘争を支持し、韓国の民主化闘争に連帯する活動を、一貫して追求してきました。
 またわたしたちは、闘いの基本に、常に労働運動の階級的再生を掲げてきました。これなしには、あらゆる矛盾を人民の肩に背負わせ、改憲・戦争国家化をはかる独占資本家階級(こんにちではそれは安倍ブルジョワ独裁政権としてより強化されている)を打倒することはできないと考えているからです。
 資本家階級の言いなり状態・政府報道の垂れ流しというマスコミの現状のなかで、国内の動きを国際的諸事件(国際的に展開される資本家と労働者階級の階級闘争)との関連のなかで捉える国際的視点、問題をその発生の時点から歴史的に見る視点が、とりわけ日本国内では不足しています。
 資本家階級による戦争と抑圧、富の強奪、この根本原因である私的所有の廃止を追求する労働者階級の闘いは、幾度も誤りや敗北に遭遇します。しかし労働者階級は、この苦難の現実のなかから、みずからの弱点をえぐりだし、自己批判・総括を徹底して、勝利に向けて、けっして諦めることなく闘いをつづけます。この真剣な自己点検は、資本家階級やその他の階層には決してできません。それは資本主義を打倒し、自らの権力を打ち立て、これを通じて階級そのものの廃絶をめざす労働者階級の歴史的使命であり、科学性であるからです。
 辺野古や高江での闘い、朝鮮人民の闘い、そしてキューバ人民の闘い。この事実がこれを証明しています。
 「資本主義的近代をどのようにして全体としてのりこえていくか。わたしたちは現代社会の思想的課題をこの一点にまっすぐ見すえています。それは、たんにあれこれの思想家・知識人の課題であるのではなく、なによりもまず階級としての現代プロレタリアートの任務です。」(〈活動家集団 思想運動〉結成時の「呼びかけ」冒頭の一文)。
 わたしたちは、『思想運動』一〇〇〇号発行を跳躍台とし、引き続きこの課題の追求・実現に全力をあげる決意です。
 読者・協力者・執筆者のみなさんの、いっそうの協働・協力をお願いいたします。【〈活動家集団 思想運動〉常任運営委員会】

(『思想運動』1000号 2017年4月15日-5月1日号)