労働者の未来は労働者自身が切り拓く
反動の流れに抗し、社会主義の旗を掲げよう!


「国難」は、突破など されてはいない!

 「北朝鮮の脅威」を口実に、「国難突破解散」を演出した安倍政権は、第四八回衆議院選挙で改憲右翼勢力の「希望の党」の誕生と民進党の分裂劇による「漁夫の利を得て」、改憲発議に必要な議席数三分の二を自公で確保した。いやこの結果は、「漁夫の利」というより、マスコミによる強引な「三極構造」のでっちあげが作り上げたのだ、と捉えるのがより正確だろう。
 詳しい選挙分析は次号に譲るとして、結果はほぼマスコミの読みどおりとなった。自民党は「もり・かけ事件」に口をつぐみ、前回同様二八四議席を獲得「圧勝」した。希望、公明、維新が伸び悩み、共産は半減したが立憲民主が躍進し、社民党は二議席維持にとどまった。
 しかしこの選挙結果は、決して、「正規雇用の有効求人倍率一倍の状況を日本で初めて達成できた」「国内総生産(GDP)は過去最高だ」「今世紀で最も高い水準の賃上げが続いている」(衆院選最後の、安倍の秋葉原での演説)などといった安倍のまやかし演説と「国難突破」路線が支持された結果ではない。それは、戦後二番目に低い五三・六八パーセントという投票率(実に約二人に一人が選挙に参加していないのだ) や「(自民党の)全有権者に占める小選挙区の得票数の割合を示す『絶対得票率』は25・2%となり、惨敗して政権から転落した2009年衆院選から4回連続で横ばいだった」(『毎日新聞』十月二十四日朝刊)に端的に示されている。にもかかわらず、ここには日本人民の意識状況が反映されていることも事実だ。

歴史認識と大衆闘争、そしてリーダー

 しかし、沖縄だけは、今回も四小選挙区中三選挙区で辺野古・高江への新基地建設に反対し翁長知事を支持する「オール沖縄」の候補が勝った。われわれはこれらの選挙結果から何を教訓化すべきか。
 その一つは、人民のたたかいは選挙だけではないということだ。沖縄では第二次大戦の惨劇を心に刻み、戦争の否定が教育と大衆運動、そして報道を通じて常に問題にされ、その継承のため努力している。そしてそれをまとめあげるリーダーの存在と、県民の間に個の尊重と同時に団結の思想が育まれていることだ。
 そしてそこには、「自分たちの未来は自分たちが切り拓く」、という強い決意がある。われわれ本土の労働者が学ぶべきはこの思想と実践だ。そしてそれが選挙の結果としてあらわれているのだ。それは決して選挙至上主義ではない。
 衆院選の結果を受けての「野党」再編は必至だろうし、改憲阻止を中心とした日本の労働者階級人民のたたかいは、量的にも、時間的にも、いっそう厳しい状況に追い込まれたといえる。安倍政権と日米独占資本とたたかう労働者階級人民のたたかう陣形の強化・再構築は不可欠であり、それはまさにいま、緊急に求められている。そのためには、いかに回り道に見えようとも労働者階級のたたかいの原点、労働組合運動の強化・再建が必要だ。
 いま、安倍政権が、核・ロケット・拉致問題を使って朝鮮を「ならず者国家」として罵倒・馬鹿にし、そうしたとらえ方がマスコミを通じて連日まき散らされ、それが空気のように日本の労働者・人民の意識のなかに吸い込まれている。安倍たちは「米国と朝鮮の戦争になれば日本が米側の同盟者として参戦すべきだ、それが日本の『国益』につながる」と戦争政策を煽りにあおっている。ブルジョワ支配階級は、この宣伝を通じて、人民の間に「日本第一主義」のナショナリズムを植え付け、資本主義の生み出す矛盾と危機から人民の目をそらせようとしているのだ。
 安倍の言ったのとはまったく違う意味で、いままさに支配層は「国難」に見舞われている。長期にわたる極度の搾取と社会保障切り捨てが招いた少子化による労働力不足。
 『日経新聞』十月二十二日付は、「日本の海外資産初の一〇〇〇兆円に――企業・個人、成長取り込む」の見出しのもと、大金持ちがいかに儲けているかを臆面もなく書いている。
 「好循環?」の資本が国内に投資されず海外に流出するほかない様は、帝国主義そのものだ。
 安倍とトランプの蜜月が日本政府・マスコミによって演出されているが、よりいっそうの市場開放、資本の自由化にたいするトランプの圧力は相当なものがある。日本の労働者人民は、日米支配層に牛耳られ押し黙らされたまま「地獄への道」を歩みつづけてはならない。

一〇〇年前のロシア労働者の闘いに学ぶ

 今年十一月七日は、ロシア十月社会主義革命から一〇〇年を迎える。われわれはこの日を記念し集会をひらく。日本社会の変革を構想するうえで、いま現在、一九〇五年のストライキに始まるロシア十月社会主義革命の世界史的意義から学ぶ意味は大きい。ロシアの労働者たちは以下のスローガンを掲げて、一二年後の十月に革命を成し遂げた。
 「一九〇五年一月首都ペテルブルグの労働者のゼネスト要求
八時間労働を!
時間外労働の廃止!
時間外賃金は二倍!
疾病時の賃金半額保障!
医療費の工場負担を!
だれでも最低賃金一日一〇〇コペイカ
婦人労働者は一日最低七〇コペイカを
遅刻の罰金廃止!
労働者代表と協議して賃金を設定せよ!
ストライキ参加者に報復をするな!」
 「原則こそが、新しい。」
 一人でも多くのみなさんがロシア十月社会主義革命一〇〇周年記念集会へ参加されるよう、強く訴える! 【広野省三】

(『思想運動』1010号 2017年10月15日-11月1日号)