朝鮮幼稚園はずしNO! 11・2集会に参加して
ともに公平・公正を実践するため闘い続ける

高梨晃嘉(神奈川・朝鮮学園を支援する会)

 こんなに参加者の力強い意気込みと信念を感じることのできた集会への参加は私には実に久しぶりであった。集会とは、「朝鮮幼稚園はずしNO! すべての幼児に教育・保育の権利を! 11・2全国集会&パレード」。この日、約五五〇〇人が日比谷野外音楽堂に全国(朝鮮学校のある県)から馳せ参じた。この集会&パレードは、八団体(平和フォーラムや朝鮮学園を支援する全国ネット、高校無償化から朝鮮学校排除に反対する連絡会、日朝学術教育交流協会など、そして朝鮮側の「朝鮮幼稚園幼保無償化」中央対策委員会、朝鮮学校オモニ会全国連絡会など)が主催。五〇〇〇人近くのパレードも圧巻であり、「許すな! 差別政策」、「前代未聞の民族差別」などのプラカード・横断幕を掲げ、かつ抗議のシュプレヒコールをあげながら、集会会場から銀座通りを経て東京駅付近までパレードを行なった。
 集会は、最後まで在日の人々の明るく元気な雰囲気に包まれた中で進められ、特に舞台での幼稚園児たちのBGMに併せての遊技は参加者を大いに励まし、闘いへの決意を奮い立たせるものであった。主催者挨拶は、南昇祐「朝鮮幼稚園幼保無償化」中央対策委員会委員長は、「植民地支配の犠牲者である在日同胞を優遇し保護すべきなのに、幼い子どもたちまで民族排他と差別の刃を向ける、このような卑劣な政権がほかにあるでしょうか」と安倍政権を厳しく批判した。また、平和フォーラムの藤本泰成共同代表は「過去の歴史を真摯にみるならば、この問題は、日本社会の問題、日本人自身の問題として捉え返さなくてはなりません」と訴えかけた。こうした大切な訴え、特に藤本さんの訴えを、受け止める日本人の参加者が決して多くはなかったことに、日本のわたしたちの運動がまだまだ不十分であることを思い知らされた集会でもあった。
 いうまでもなく、安倍政権の在日朝鮮人への民族差別の狙いは、民族教育の権利と民族教育及び在日朝鮮人社会の抹殺にある、と思う。朝鮮幼稚園の幼保無償化制度からの排除という、さらに一段と強められた民族差別を前に、日本社会はなぜにこうも「差別」に無頓着なのであろうか、日本社会では、「正義」や「公平」、「公正」という言葉さえもどんどん後景に追いやれ、聞かれなくなりつつあるのはなぜなのか、改めて自問しなくてはおれない現在の状況である。日本による朝鮮への植民地支配が作り出した在日朝鮮人の存在と日本社会の一員として暮らしている在日朝鮮人の存在についての理解と認識をこれまで以上に広げていかなくてはならない、と強く思う。そして、神奈川でも、民族差別の是正を求めるわたしたちの街頭等での呼びかけに、まだ少ないながら、差別に心を痛め、呼びかけに応えてくれる人は存在している。そういう経験を大事にして、在日朝鮮の人びとが民族としての尊厳を実現する手段としての権利獲得への闘いの歴史=自らの権利は自らの闘いで獲得する、という信念にも大いに学び直さなくては、とも思う。他方、日本人個々人の尊厳も安倍政権のもとで職場と地域で乱暴に踏みにじられている現実から目を逸らすことはできない、いやしっかりと向き合うことが問われているのではないか。在日朝鮮人も日本のわたしたち人民も日々、差別と分断に曝されており、したがって、各々が置かれている自分のテリトリーで「公平」「公正」を実現するために闘い続けることができるかどうか、闘うことでお互いへの励ましが生まれ、支援・連帯へと進み、その力で差別是正や権利の獲得・擁護への道が大きく切り開かれていくのではないだろうか。そう確信して、引き続き朝鮮学校をはじめ在日朝鮮人の民族教育擁護と民族差別をさせない取り組みに全国の民族差別反対のみなさんの闘いに学びながら神奈川の地でも引き続きしっかり闘いを進めていきたい。

(『思想運動』1047号 2019年12月1日号)