「4・28沖縄デー」を忘れるな
沖縄に連帯し石破戦争政権と対決しよう!

岡本茂樹(ふくおか戦争政権に反対し行動する実行委員会)

4・28は「戦争と平和」考える大切な日

80年前、1945年8月、日本は敗戦国となり米軍に占領された。そして1952年4月28日は、西側諸国との片面講和条約つまりサンフランシスコ講和条約が発効し、「日本の独立」と引き換えに日本政府が沖縄・奄美を含む琉球弧の島々を米軍政下に差し出した日だ。同じ日、日米安全保障条約と日米行政(現地位)協定が発効した。それ以来、日本は米国の半植民地として米国のアジア・世界戦略に組み込まれたのだ。戦争をしない、軍隊を持たないと宣言した日本国憲法の平和主義は、この時から日米安保条約に従属させられ、今は自公政権に敵視され改悪されようとしている。
同じ日に、沖縄県は、日本国憲法さえ適用されず、基本的人権さえ奪われる過酷な米軍の軍政下に投げ込まれた。現在の在沖米軍基地のほとんどはこの軍政下に沖縄県民の土地を強奪してつくられた。日本政府も日本国民も、沖縄県民をその独立と引き換えに米国・米軍に売り渡した責任・罪を免れることはできない。琉球弧・沖縄の人びとは、この日「4・28」を「屈辱の日」として胸に刻んでいる。沖縄県民に屈辱を与えたのは誰か。それは、他ならぬ日本国であり、昭和天皇であり、日本国民だ。わたしたちは、このことを心に刻み、沖縄から軍事基地をなくし平和な沖縄県を取り戻す沖縄県民に連帯しよう。そのために福岡では毎年「4・28沖縄デー」の集会を行なっている。
1972年5月15日、沖縄県は、日本に「復帰」したが、現在も沖縄県には、全国の70%の米軍専用施設が集中している。さらに、この数年自衛隊基地が沖縄、宮古、八重山の島々に次々と開設され拡張されている。「台湾有事」を扇動する日米両政府は、沖縄県を軍靴で踏みにじるように第二の沖縄戦を想起させる大軍事演習を県民の抗議を無視し1年中繰り返している。日米両軍は、日本全土で日夜戦争訓練をしている、人々が生活している地域で低空飛行訓練を繰り返している。いつ住民の頭上に軍用機が落ちてくるかわからない。沖縄の問題は日本全体の問題だ。「4・28沖縄デー」は、沖縄県民だけでなく全国でわたしたちが「戦争と平和」を考える大事な日なのだ。

大軍拡のあおりを食うのは人びとの生活

さて、日本は世界の経済発展から後れを取り「失われた30年」と呼ばれている。大企業が600兆円を超す内部留保金をためこむ一方、労働者の実質賃金は減少している。世界の国々では2倍、3倍と増加しているのに。年間所得300万円以下のワーキングプアの所帯が30%、労働者の4割が非正規雇用である。格差と貧困の拡大はだれの目にも明らかだ。大学の授業料はかつての50~60倍に上がり、大学生の多くが社会人となるときに数百万円の借金を抱えている。これは日本の教育予算が世界でも最低であることに起因する。若者は希望を失っている。わたしたちは次代を担う若者の未来を明るいものにしたい。1989年に3%からスタートし5%、8%、10%と上げられてきた消費税は、社会保障や福祉・教育には使われず、大企業の減税に、内部留保金となって消えた。増税しても社会保障予算は削られてばかり、暮らし向きはちっともよくならない。
昨年の衆院選では、自民党の金権体質が暴露され、与党の敗北、少数与党化が実現した。しかし、石破戦争政権は日本維新の会や国民民主党などを準与党化して延命し、5年間で43兆円の大軍拡政策を進めている。戦争政権による大軍拡のあおりを食うのは、国民生活、社会保障、教育・文化の予算に決まっている。

沈黙していれば戦争ははじまる

米国の第2次トランプ政権が1月に誕生して以来、世界は上や下への大騒ぎだ。世界の覇者として君臨してきた米国は今や凋落の一途だ。国民総生産GDPはすでに中国に追い抜かれている。それでも米国や日本、NATO諸国はIT情報産業や軍事力で、また理不尽な一方的高関税で世界の支配を維持しようとしている。
米国と一体となったイスラエルによるパレスチナ・ガザにおける虐殺、非人道的なジェノサイドは、世界の人びとから非難されている。何兆円もの軍事援助でウクライナをロシアとの代理戦争に駆り立て、ウクライナ戦争を差配しているのは誰かも明らかになってきた。IT産業も含む世界の軍需産業は戦争によって大もうけしている。かれらが生産する非人道的な兵器、大量殺戮兵器により、多くの人々が殺され、障がいを負い、多くの人びと、女性、子どもが貧困と飢えの苦しみを負っている。直ちに、すべての戦争を止め、非人道的な経済封鎖をやめさせなければいけない。それができるのは、世界の世論、世界の労働者・市民の闘いだけである。
中谷元・防衛相が、3月末のへグセス米国防長官との会談で、中国への対抗を念頭に、東シナ海や南シナ海、朝鮮半島を中心とした地域を一体の「戦域」としてとらえ、日米が同志国(オーストラリア、フィリピン、韓国)とともに防衛協力を強化する「ワンシアター(一つの戦域)」構想を伝えていたことが判明した。この戦域が、沖縄県や九州に及ぶのは必然だ。日本が中国との戦争を中心となって担うと宣言したに等しく、まさに自衛隊、防衛省の暴走というほかはない。米国からは、中国との戦争で前線に立って戦うのは日本・自衛隊だといわれ、軍事費をGDP比3%に上げろと要求される始末だ。
日本は、先の戦争でアジア諸国を蹂躙し2000万人の犠牲者を出し、300万人の日本人も犠牲となった。悲惨な沖縄の地上戦、本土大都市の無差別空爆を経て、そして広島と長崎の被爆という悲惨な経験を通して、日本は二度と戦争はしない、「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を決意した。」のだ。「戦争を準備する」のは愚の骨頂だ。「平和を準備する」のが一番だ。
今沖縄県では名護市辺野古に米軍新基地の建設が、県民の民意を無視し、抗議行動を圧殺しながら進められている。遺骨を含む土砂を埋め立てに使い、軟弱地盤に7万本の砂杭を打ち込み、豊饒な沖縄のサンゴ礁と生物を死滅させ強行しようとしている。計画から30年を経て完成せず、今後さらに30年を経ても完成するかわからない。沖縄諸島の各地に配備された自衛隊は、約束を守らず増強され中国本土まで届く1000kmの長射程ミサイルを配備するに至った。
外国軍基地があるところに犯罪、とくに性犯罪が増加することは周知のことだ。沖縄県でも例にもれず、民家への不法侵入、酒気帯び運転事故、婦女子への暴行事件が相次いでいる。沖縄県からの再三の要請にもかかわらず、政府、防衛局は米軍に抗議もせず、効果のない綱紀粛正を要請するばかりだ。さらに政府・防衛局は、卑劣な婦女暴行事件を沖縄県に数か月も報告せず隠していたことも明らかになった。石破首相に至っては、「米軍の存在と婦女暴行事件の増加の関係は存じ上げない」と白ばっくれる始末だ。
沈黙していれば戦争がはじまる。世界第2の大国、中国と戦争するのか。日本の最大の貿易国であり、何百万の人々が交流する隣国、中国と戦争するのか。絶対にやってはいけない。「4・28沖縄デー」を心に刻み、戦争に反対し、東アジアの平和を準備し構築するために立ち上がろう。石破戦争政権に反対し、労働者・市民は自らが主人公の政治・社会を求めて闘おう。

(『思想運動』1112号 2025年5月1日号)