高市「どまぐれ」解散に鉄槌を!
弱者切り捨て、金持ち優遇、戦争政権の延命を許すな
「どまぐれ」という言葉を聞いたことがない読者も多いかもかもしれないが、「どまぐれ」とは九州地方の方言で、「道を外した」「モラルに反する」といった意味を持ち、他人の意見を聞かず、自分勝手で手がつけられない人間を「どまぐれモン(者)」と呼ぶ。
高市は、1月19日の記者会見で「わたしは本日、内閣総理大臣として、1月23日に衆議院を解散する決断を致しました。何故、今なのか。『高市早苗が、内閣総理大臣で良いのかどうか』今、主権者たる国民の皆様に決めていただくしかない。そう考えたからです」と述べ、23日の通常国会冒頭に衆議院を解散、27日に公示、2月8日に投開票の日程で総選挙を行なうと発表した。
わたしは「何故、今なのか」の説明がまったくわからないし、「高市が内閣総理大臣で良い」とは決して思わない。人民の生活向上にプラスになる仕事はなにもせず(戦争国家化への対応にあけくれ)、わずか3か月で「わたしを信認して」とはどういう神経を持っているのか。
しかし、各種世論調査によると高市の支持率は6〜7割ある(自民党の支持率は3割前後)。自民党はSNSでの情報発信に全力で取り組み、参政党や国民民主党などもこれを使った選挙活動を強力に展開している。国民全体がこれらのニセ・デマ・反動情報に振り回され、高市が排外主義と戦争を煽り、何か威勢のいいことを言えば、それがそのままムードとして消費されてしまう構造ができあがっている。いまのうちに解散総選挙をやれば勝てる、そう見越した、究極の「さなえファースト」なのだ。
連日日本経済が危ないと言われながらも、円安と株高で大企業と金持ちが大儲けし、格差は拡大するいっぽうだ。飲食物だけでなくすべての輸入品が値上がりし、大多数の勤労人民世帯は物価高で日々の生活に苦労している。高市はそんなことなどおかまいなし、過労死家族の無念さを逆なでするように「働け、働け」とムチをふるう。
しかしその根底には日本を含めた世界全体の構造的変化(米国と西側資本主義国の力の衰退とBRICSをはじめとした新興国の伸長)がはっきりとある。いま世界最大の「どまぐれ」トランプは、「国際法は関係ない、自分自身の道徳観が決めるのだ」と言い放つ。高市はこの発言をまさに自分の世界観と同じだと、小躍りして喜んでいるのだろう。
予算委員会が開かれれば、「存立危機事態」発言への批判、自分自身も含めた「政治と金」問題(自民党は今回の選挙に派閥裏金事件に関係した議員37人を含む284人を第1次公認候補とした)、パートナーの維新が抱える国保逃れ問題、旧統一協会との癒着(高市自身の名前が報告書に32回も登場)等々が議論の対象にならざるを得ない。これらの問題に国民が気づかないうちに選挙をやり、勝てば「信任された、問題なし」でダンマリを決め込み、ブルジョワ国家権力を総動員して、軍事面だけでなく産業政策、労働政策、科学技術、教育など社会全体の戦争国家化を急進展させようという魂胆なのだろう。
しかしこの犯罪と、資本主義の矛盾とその綻びを正面から追及するような「主体の形成」がなされていない。それは政党や労働団体もそうだし、選挙民一人ひとりがそういう状況にある。
「中道」が結成されたが、安保法制の「存立危機事態」での集団的自衛権の行使を合憲と認めることや、原発ゼロの社会を目指すとしていた部分を棚上げして再稼働を容認するなど、われわれには賛成できない基本政策が並んでいる。
もちろん、資本主義の矛盾を解決する道は社会主義しかない。それを理想として掲げ、闘い抜くことなしに労働者人民の未来は切り開けない。選挙だけで何かが決まったり、世の中が劇的に変わったりすることはない。しかし、今度の選挙ばかりは別だ。高市たちを勝たせては絶対にダメだという意志を、はっきりと行動で示さなければならない。論争をしていて済む段階は、もう過ぎている。投票所へ行くのは当然として、職場でも地域でも、あらゆる場所で議論を巻き起こす。そこで「これはおかしいぞ」「こんなことを許せば、本当に戦争になってしまうぞ」という声を広げ、具体的な高市政権を打倒する運動を作っていかないとこのままでは本当に終わりになる。「中道はダメだ」と切り捨てるのではなくて、「今度の選挙ばかりは高市たちが勝つことを絶対に許さない」。この一点でともに闘おうという議論・行動を、職場でも地域でも学園でも巻き起こしていこう。
【広野省三】
(『思想運動』1121号 2026年2月1日号)
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