国際婦人デー集会にぜひ参加を!
女性労働者の思い溢れる「クロストーク」をいっしょに

いま混沌と激動する世界のなかで、今年も国際婦人デーがめぐってきます。高市反動政権による戦争政策に抗して、反戦平和と女性の権利を表裏一体のものとして求める思いを新たに、わたしたちは今年も国際婦人デー集会を開きます。今年は日程がいつもより遅く、3月28日の開催です。
今年の集会の特徴としては、昨年好評だった〝クロストーク〟(発言者同士、会場も交えてのトークセッション)を時間・発言者数ともに拡大し、メイン企画として行ないたいと考えています。そこで、わたしたちの企図を以下にお伝えします。
日ごろ、わたしたちが参加する集会や講演会などは多くの場合、大学の教授や弁護士、議員、あるいは労働組合の長や経験ある活動家などが話をします。普段は聴く側であったり、そうした場を準備する側にいることの多い労働者が、メインに発言する場を作れたらと思います。それは、世界中で広がる戦争を止めるための労働者階級の国際連帯、一人ひとりの労働者が当事者として声をあげることを呼びかけた国際婦人デー創設の趣旨にふさわしいと考えました。そして、互いの発言を聴いての率直な感想や問題意識を、限られた時間ですができるだけクロスさせられたらいいなと思います。

なぜ〈クロストーク〉なのか?
昨年の集会ではそれぞれの発言者がみな個性にあふれ、一寸先はどんなやりとりになるのか分からない緊張感とワクワク感がありました。たとえば全国一般・全労働者組合の女性の発言は、反戦や反原発運動に参加するなかでの思いを語るものでした。亡き祖母や父への思いが去来する彼女の胸の内を通じて、何が彼女の生きる指針や矜持になっているのかが会場全体に伝わりました。そのときたしかに、会場で「起こったこと」は何だったのか。それは、わたしたちに今必要なもの、今この時代をいっしょに生きていくエネルギー源になるものが、短い時間ではあったけどたしかに生まれていたと思えます。
彼女の話は、「心に書いた言葉」という表現がしっくり来る気がします。日々忙しく、記録されない出来事が矢のように過ぎていくなかで、けれどその人が悩んだり懸命に考えたことは、きっとその心に沈殿して結晶していく、自分の〈言葉〉になっていくのではないでしょうか。そうした〈言葉〉が皆さん一人ひとりに、きっとあるはずです。あるいは、日常些細なことだけど大切にしていることで、話してみたいこととかはありませんか。人前で話すことが不慣れでも苦手でもいいじゃないですか。互いの〈言葉〉を持ち寄って、共感・共有化しあえる空間をいっしょに創りましょう。世界各国の婦人デーには花束を女性に手渡す国も多いようですが、クロストークで花束の代わりにマイクを、話を聴きあう場そのものが祝祭となるようなイメージです。〈感動〉は、映画やコンサートのなかだけでなく、自分が主体になるとき日常あらゆるところに発見できる、そうした目を社会へ・世界へ向けたとき、見え方がそれまでと変わってくるのではないでしょうか。

労働者の分断・孤立を超えて
最近も、労働者が加害者になる事件が跡を絶ちません。昨年末には、工場の職場でいじめられ退職した労働者が無差別に同工場の労働者を刺傷する事件が起き、さらに前には介護施設で働き「希望が持てない」とこれもまた退職した労働者が、施設に侵入し高齢者を殺害する事件などがありました。振り返れば、多くの人を巻き込んでの自死や無差別殺人などの記憶もあたらしく、またSNSを通じて詐欺や強盗・殺人に及ぶ若者、子どもによる高齢者の殺害など、将来の労働者も犯罪当事者になっています。表面化しない虐待やハラスメントも含めて、人民同士の悲しい暴力の土壌は広がり深まり続けていると思います。そうした暴力の気配や萌芽をごく身近に感じている人も多いのではないでしょうか。
なぜこんな状況になっているのか。わたしたちは、雇用の劣化と労働者の分断・孤立が、表裏一体の原因であると考えます。雇用劣化とは、「非正規」雇用は言わずもがなですが、「正規」雇用にも言えることです。労働時間上限規制を事実上取り払おうとする高市政権の策動は言語道断ですが、しかし、それを先取り的に既成事実にしてしまっている職場状況がすでに広がっています。時間外労働の超過で生活もままならず命を縮める労働者が大企業でも続出している状況は、賃金が高かろうが雇用劣化以外の何ものでもありません。その影響は、当該労働者のみにとどまるものではなく、その家族や近親者にとり深刻なものです。一方、日本の企業の9割を占める中小企業の組合加入率は1%を切るなかで、賃上げや時間外労働超過などさまざまな問題で集団的に労働者が闘わなければ、企業の搾取し放題、雇用劣化に歯止めはかけられません。疲弊しきった労働者に能力主義や自己責任論が追い打ちをかけ、労働者間のつながりは断ち切られています。
「非正規」雇用の場合、みずからの労働の実感と見合わない賃金をはじめ労働条件の酷さに気づき声をあげようとしても、いくつものハードルが待っています。そもそもかつかつの生活であったり、有期雇用や派遣であれば雇止めのおそれに直面します。諦めや無気力、それでも抑えきれないストレスで職場は荒みそれぞれが孤立。これこそが憲法28条に反する「非正規」雇用で働くことの意味なのかと今さらながらに実感しているわたし自身は、清掃会社のパート労働者です。職場に組合がなく合同労組に加入し、いっしょに声をあげようと同僚に働きかけています。パートだけど無期雇用のため、少しでも声をあげる条件があるならと活動していますがいまのところ一人組合です。本紙に送られてくる労働者通信のなかにも、共通する状況での葛藤や不安を吐露するものが多くあります。そして、その「非正規」に女性が多く(「非正規」雇用の7割)貧困が拡大している状況については紙幅の関係で次号に送りたいと思います。

〈なぜ?〉を話し合うことを力に
どこを見渡しても厳しい状況のなかで、わたしたちが大事にしたいものとは何でしょうか。何かおかしいと感じ、それはなぜかを考えることをやめてしまわないこと、そして、たとえそれぞれが立つ場所で孤立を感じていても、状況を俯瞰すれば決してひとりではない、そうしたわたしたち同士ができる限りつながることではないでしょうか。
どうにかしたいとせっかく思っても、一筋縄ではいかないなかで、けれどその状況自体が国・資本によって意図的につくられたものであるのを知るとき、それを許せない、ぜったいに嫌だと抗う気持ちが芽生えたとしても、それをひとりで持ち続けるのは難しい。互いの火種を大きく育てあうようなつながりを、いまわたしたちは心底欲しているはずです。そして、そのつながりの始まりには、「わたしは…」と主体的に話し出すいきいきした対話があるだろうなとクロストークをイメージしました。
たとえば今回の発言予定者には、大企業労組や官公労の多くが労使協調にひた走るなかで、少数でも信頼できる組合の仲間といっしょに奮闘している女性がいます。ピラミッド支配型で下部組合員の意見を吸い上げない組合の民主化、組合員ではあってもなくても無関心な人にどう働きかけるか、など。そこには、正規・非正規、公・民の枠を超えて、共通して話しあえるテーマがありそうです。そして、いまこんなにも酷い状況でも声をあげられない日本人の精神性とは、真実ではなく偽りの「強さ」や「力」を求めてしまう弱さとは、一体どこからくるのでしょうか。いくつもの〈なぜ〉を考え話しあうことは、わたしたちがたちあがるエネルギー源になるはずです。皆さんの参加を心から呼びかけます。

【国際婦人デー集会実行委員会・米丸かさね】
(『思想運動』1121号 2026年2月1日号)