新基地建設が争点の県知事選を前に
全国の現場で現地の闘いの支持を
                  

 今月16日投開票の沖縄県知事選挙は、辺野古新基地問題を最大の争点として闘われている。昨年末強行された仲井真知事の埋め立て「承認」を許さず、あらためて新基地建設反対の県民の意志を示す場である。と同時に、強権的暴力をむき出しに新基地建設をおしすすめる安倍政権に断固反対を突きつける場に他ならない。

大衆運動と結びついての選挙運動

 米軍普天間飛行場の返還に伴う「移設」と称して、海兵隊航空基地建設地に辺野古が選定されて以降、名護市民・沖縄の人々の反対の意志は、明確かつ一貫して示されてきた。
 97年名護市民投票での「反対」の意志表示にもかかわらず、基地建設計画がおし進められ、作業ヤード施工を強行しようとする沖縄防衛施設庁との攻防から、辺野古での座り込み闘争が始まった。以来、その闘いは今年4月で10年に及ぶ。単管やぐらによじ登っての海上阻止行動は、ボーリング調査を中止に追い込んできた。10・14年の名護市長選では、新基地反対・基地依存経済からの脱却を牽引する稲嶺市長を誕生させ、新基地反対の与党を作り出した。
 反基地の大衆運動と結びついて展開される選挙運動が、新基地建設反対の自治体をつくりだす力となって展開している。本土の選挙ではそうした結びつきをつくりだすことはほとんどできていない。苦難を強いられる中で勝ち取られてきた名護・沖縄人民の民主主義の成熟に、わたしたちは学ばねばならない。
 これに対して日米両政府は、12年10月、普天間基地に垂直離着陸機オスプレイ12機を配備した。「辺野古移設できなければ普天間は固定化」、宜野湾市民の被害・負担を増すという姑息かつ強権的な恫喝である。また昨年、沖縄選出自民党議員五名および自民党県連・県議団の「県外移設」公約を破棄させ、年末には仲井真知事に公有水面埋め立てを「承認」させた。
 この不条理をきわめた凄まじい恫喝政治に対して、12年9月、10万人もの人々が結集、オスプレイ普天間配備に怒りの声をあげた。その声が昨年1月、沖縄全41市町村長らによる「建白書」(「オスプレイの配備撤回、普天間基地の閉鎖・撤去、県内移設断念を求める」)提出に直結したのである。そして、14年1月の県議会でも「辺野古埋め立て反対」意見書が決議された。
 この間の政府の横暴、凄まじい沖縄差別への大衆的かつ強烈な怒りは、保守系議員・経済界に深刻な分裂を引き起こしている。そして従来の保革の枠組みを内包しながらも、政府の沖縄差別政策に対抗する広範な団結が模索されてきた。それがいま、「島ぐるみ」、「オール沖縄」というかたちで表出し、県知事選での新基地建設反対派候補として翁長雄志前那覇市長を擁立した。
 翁長氏は出馬に伴う政策発表において、これまで表明してこなかった東村高江の米軍ヘリパッド建設についても、配備撤回を訴えているオスプレイの専用的な使用が予定されているとして反対を表明した。
 稲嶺名護市長も、反基地運動と行動を共にする中で新基地建設反対の主張を明確化してきた経緯がある。選挙後も見据え、翁長氏が反基地・反安保の大衆運動と結びつき、それをどれだけ強めていけるかが鍵であることを、沖縄の大衆運動はわたしたちに教えている。そしてそこに本土の運動がいかに連帯できるのかが厳しく問われている。

沖縄の闘いに連帯しよう

 「集団的自衛権行使容認」を宣言した安倍政権の、日米一体となった軍事力強化とその自由度の拡大という目的の具体的展開のひとつが、辺野古新基地建設だ。
 すでにおし進められている与那国・宮古・石垣島への自衛隊配備をはじめ南西諸島一帯の軍備強化と連動している。日米同盟強化を柱としながら、安倍政権は労働法制改悪、原発再稼働をはじめあらゆる分野での壊憲策動を進めている。
 職場・地域で直面する問題と、辺野古基地建設問題は一体、根はひとつ。日米反動支配層・独占との闘いとしての壊憲阻止の闘い、自らの地域・職場・学園での闘いと結び合い、沖縄基地問題を訴えていくことがいまこそ求められている。
 辺野古新基地建設絶対阻止の全国的な闘いの輪を築き上げよう。 【丸山こじり】

(思想運動 946号 2014年11月1日号)