ロシア社会主義革命98周年記念集会開催される
『戦争案内』(ブレヒト)朗読と歌と講演の集い

資本主義の野蛮に抗し社会主義の未来を切り開こう


 いま、人民を戦争への道に引きずり込もうとする国・資本家の暴力は、歴史に対しても向けられ、労働者・人民の闘いの歴史を塗りつぶし、自分たちの都合のいいようにねじ曲げる。いま、現在のわたしたち労働者・人民が、かつての労働者・人民の史上初めて切り開いた革命の思想と実践に、その後の困難の歴史をも含めて向き合うことは、野蛮な時流に抗う基点となる行為だろう。
 11月7日、文京区男女平等センターで、ロシア社会主義革命98周年記念集会が開催された。この集会は、HOWS講座2015年度後期の開講講座としても開かれた。会場のホールに入ると、正面ステージ上の横幕にまず目をひかれた。白地に描かれた赤い焔のようなかたまりをよく見ると、たくさんの人びとが集まり旗を掲げて駆けてゆく姿だと分かる。主催者の人に聞くと、ジョン-リードがロシア革命を描いたルポルタージュ『世界を震撼させた十日間』のロシア語版(1923年版)の表紙の絵をもとに作成したという。群衆を簡略化してふちどっている線が、かれらが労働者階級だということを伝え、かれらの躍動感、「平和とパン」を求めて闘い、労働者国家をつくった歴史の主人公がまさにかれらだったんだということを伝えている。その他にも、いくつもの大きなポスターなど手創りのその空間全体が、労働者階級の闘いを記念する集会の基調を表していると感じた。
 集会は、労働者の闘いの歌の合唱から始まった。「ワルシャワ労働歌」、「連帯性の歌 」、「行く」などが、それぞれの歌の生まれる土壌となった歴史や、現在の状況に引きつけたナレーションとともに披露された。そのメロディは、それが生まれた時代を想起させ、日頃マスメディアに氾濫する音に慣れてしまったわたしの耳の感覚に新しい風を吹き込む。同時に歌詩の意味が、こちらの胸に落ちて残る。そんなふうに歌を聴き手に伝えるにいたる技術や思想・志操の鍛錬が想像された。
 つづいて基調報告を、HOWS講師の山下勇男さんが、「反ファシズム闘争勝利・日本帝国主義敗北70年」と題して行なった。違憲の戦争法制の強行、ブルジョワ憲法の規範である立憲主義の蹂躙が公然と行なわれる、この2015年という年を戦後史の転換点と位置づけた上で、混迷する情勢が解剖され、戦争を生み出す資本主義との対決という闘いの道筋が明示された。ときに自身をも含めた運動体にも向けられる厳しい問題提起は、より深い議論と実践への呼びかけとして大いに学ぶべき内容だった(全内容は、次号『社会評論』(2015年冬号)に掲載予定)。
 つぎに、ブレヒト作『戦争案内』の写真と詩のスライド上映と朗読がおこなわれた(『戦争案内』の説明は、本紙前号、前々号をご参照ください)。読み手は経験ほぼゼロの労働者で、近年にはない実験的な試みだった。ブレヒトの詩は、一度の読みでは意味がとりづらいものがあり、こうした試みの難しさを感じた。一方、上演者たちのやる気、共同作業のおもしろさは伝わってきた。これを皮切りに、この国の労働者たちによる『戦争案内』をつくれないかという声も聞こえ、今後への期待がふくらむ。最後にインターナショナルを、参加者みなで歌い閉会した。 【藤田恭子】

(『思想運動』969号 2015年11月15日号)