〈投稿〉『朝日』の朝鮮労働党大会報道を検証する
目に余る「反北キャンペーン」記事


「36年間の党活動がいかに総括されるのか、また今後の国家建設や祖国統一問題についてどのような展望が示されるのかが注目される」(『朝鮮新報』4月27日付)。朝鮮労働党大会が5月6日から開催された。

『朝日』の記事

『朝日新聞』は5月5日の朝刊に「北朝鮮あすから党大会」と題する記事を掲載した(東京本社14版総合3・3段抜き)。権力者たちによる〝中立性〟を口実にした言論弾圧はきびしく糾弾されなければならないし、ジャーナリストは主義・主張をもって記事を書くべきだ。だがニュース記事は、取材によって確かめられた客観的事実に基づいて書かれるべきであって、記者の主観や憶測だけで作られてはならない。こうした観点に立って『朝日』が朝鮮労働党大会の開催をどう報じているかを検証した。以下の引用は、紙面の都合から『朝日』記事の約3分の2を再掲したものである。
──北朝鮮あすから党大会(見出し) 党大会開催は36年ぶり。金正恩第一書記の個人独裁を強化し、内外に宣伝する行事となる。
核・ミサイル開発を維持する一方、経済は低迷し、具体な数値目標を示すのは困難とみられる。 
正恩氏は、党大会を「名実ともに金正恩時代の幕開けを宣言する舞台」(元労働党員)として活用し、呼称や党規約の変更などで自らの偶像化を進める見通しだ。幹部の世代交代で、30代前半と若い正恩氏を働きやすくする目的があるとみられる。
正恩氏には、目立つ業績が核・ミサイル開発しかない。12年の憲法改正で盛り込んだ「核保有国」の文言を、党規約の序文など反映させる可能性がある。
韓国国防省は3日の国会国防委員会で、北朝鮮が党大会前後に5度目の核実験などの挑発を行う可能性があるとした。北朝鮮と国際社会との関係は悪化しており、最大の「後ろ盾」となってきた中国から、高官が出席しない可能性がある。(ソウル=牧野愛博)──
下線は、この記事を書いたソウル支局長を務めるジャーナリスト牧野愛博氏の「客観報道」をチェックした箇所だ。
大半が「みられる」「可能性がある」で終わるこの記事は、事実の引用が皆無の、誹謗中傷を目的とした憶測記事である。「経済は低迷」「目立つ業績が核・ミサイル開発しかない」と記述している。しかし、同じ『朝日』が4月26日朝刊12版・15頁オピニオン「北朝鮮と向き合う」では、「正恩氏は合理的な判断で国家運営をしています。(他国からの攻撃を)抑止するために核を持とうとしています。安心を手に入れた上で経済政策に力を注ぐつもりでしょう」と評している。

真実を報道せよ

ブルジョワ・マスコミは、朝鮮民主主義人民共和国の最近の科学教育の充実、目を見張る経済の発展等については報道しない。反対に必死に隠そうとしているが、わたしは昨年10月に朝鮮を訪れ、朝鮮の経済発展をこの目で見て実感してきた。日本にいても知ろうとすれば朝鮮の発展を確認することができる。
わたしは、この記事が『朝日』による悪意に満ちた「反北朝鮮キャンペーン」そのものであることを再認識し、あわせて日朝の歴史を直視すべき日本人民の一人として第7回党大会が成功することを願い、また米国と日本を中心とする独占資本主義の攻撃に耐え社会主義の下で奮闘している朝鮮人民への支援をつづけていきたい。
2016年5月6日  【田沼久男】

(『思想運動』980号 2016年5月15日号)