ロシア十月社会主義革命九九周年記念集会に結集を!
いまこそ社会主義が必要だ!

戦争の根絶と人民生活の向上を求めて


社会主義の栄光と苦い「敗北」

 第一次世界大戦の最中の一九一七年十一月七日、ロシアの労働者・兵士・農民は、パンと平和と土地を求めて起ちあがった。戦争と搾取のない世界をめざす人類の歴史に輝かしい一ページを刻む、ロシア十月社会主義革命を勝ち取ったのだ。
 欧米、そして日本の帝国主義は新生ロシアの誕生に肝を冷やし、内戦を煽り、武力で襲いかかった。とりわけ日本帝国主義は一九一八年八月にシベリア出兵を宣言し、それは最大兵力七万三〇〇〇人、二二年六月までのほぼ五年にわたる長期に及んだ。
 さらに第二次世界大戦では、ソ連邦人民は二〇〇〇万人以上の死者を出しつつナチスドイツとの死闘に勝利し、世界平和を実現させた。
 しかしこの勝利は、アメリカを先頭とする帝国主義による執拗な反共政策の展開と軍拡競争の強要、そしてソ連・東欧共産党指導部の思想的動揺・裏切りによって一九八九~九一年に苦い「敗北」を喫した。
 資本主義各国政府とマスコミ、そして「知識人」「左翼」の多くが、もろ手を挙げてソ連・東欧社会主義の倒壊を歓迎した。社会主義陣営と資本主義陣営の厳しい対立、いわゆる「冷戦」構造が解体され、以降、世界の人民は平和の配当を受け取り、生活は向上するだろうとバラ色の未来が大宣伝された。

野蛮な世界の再現

 しかし、その後二五年間の現実はどうか。アメリカを中核とする帝国主義は一九九一年一月の湾岸戦争、一九九九年三月のユーゴスラビア空爆、二〇〇一年の九・一一事件をへて十月にはアフガニスタンを攻撃、二〇〇三年三月にはイラク戦争、と引きも切らずに戦争を起こし、それらはいまだに収拾の目途がたたずに継続されている。
 さらに二〇一〇年からの「アラブの春」に便乗してリビアの内戦に介入、最高指導者のカダフィ大佐殺害に手を貸し、シリアのアサド政権に敵対する反政府勢力に肩入れして内戦を激化させ、その過程でイスラム教過激派組織・ISの台頭を許している。

資本主義と戦争

 なぜ戦争が終わらないのか? それはアメリカの軍産複合体をはじめとする資本家階級が、商売としての恒常的戦争を必要としているからだ。日本政府の武器輸出解禁・軍事産業優遇の政策はまさにこうした動きと連動している。
 いっぽう、国連難民高等弁務官事務所によると、世界の難民や難民申請者、国内で住居を追われた人の数の合計は昨年末時点で推計六五三〇万人に上り、第二次世界大戦後で最多となった。世界銀行によると二〇一三年時点で一日一・九ドル(約一九〇円)未満で暮らす「極度の貧困」状態にある人口は約七億六六六〇万人(世界人口の一〇・七%)に上るという。そして国際貧困支援NGO「オックスファム」によると「世界のトップ六二人の大富豪が全人類の下位半分、すなわち三六億人と同額の資産を持っている」という。
 「富める者はますます富み、貧しい者はますます貧しくなる」。これが社会主義世界体制の倒壊後にいっそう加速化された資本のグローバリズム(民営化・規制緩和・構造改革路線)の行き着いた先である。

変化している世界

 しかしいま、世界の情勢は大きく変わっている。アメリカ帝国主義が世界の憲兵として存在する時代は過ぎた。急速に発展するBRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)と成長著しいアジア。
 とりわけ中国は、二〇一〇年にGDPで日本を追い抜き世界第二位に躍り出て、二〇~三〇年後には、経済の面からだけだと米日をあわせても太刀打ちできない規模に発展するとも予想されている。
 首相の安倍は、九月二十六日の所信表明演説で「世界一」を八回、「未来」を一八回使い、日米同盟を「希望の同盟」として日本外交の不変の原則と持ち上げたが、まったく現実を見ていない。いや、安倍と日本のブルジョワ支配階級は厳しい現実を見ているからこそ、必死にあがいていると見るほうが正確だろう。
 人民生活の困窮、資本主義が引き起こす矛盾への反乱の矛先をそらすために、世界各地で、そして日本で民族主義が声高に叫ばれる。日本国内にあふれる反中国、反朝鮮の声は、支配階級による反社会主義宣伝と民族排外主義が合体したものである。
 いま安倍自公政権は、衆参両院での三分の二以上の議席を持ち、国際平和、人民主権、基本的人権の尊重を核とする日本国憲法体制の破壊に邁進している。しかし天皇「生前退位」、高齢化社会、莫大な政府借金、増税と社会保障の切り捨て、TPP、原発と福島、そして沖縄県民の不屈の闘いなどなど問題は山積している。資本主義の危機を認識しつつ敵は階級的に政治を進めている。われわれ労働者人民も国際的で歴史的視点に裏打ちされた階級意識を鍛え、闘いに臨もう。【広野省三】

(『思想運動』989号 2016年10月15日号)