沖縄差別に満ちた大阪府警の暴言・県警による運動のリーダー逮捕糾弾
不当拘束された3人の仲間の即時解放を!
現地と本土が連帯して取り戻そう

反対運動を潰す目的の不当弾圧

 辺野古で高江で闘いの先頭に立ってきた山城博治・沖縄平和運動センター議長が十月十七日逮捕された。米軍北部訓練場においてフェンスの鉄線を切断した器物損壊容疑である。さらに二十日に同容疑で身柄を引き続き拘束する勾留請求がなされたが那覇簡裁は却下。
 ところが検察が異議を唱え、那覇地裁が勾留を認めた。これと並行して同日、沖縄県警は「那覇防衛施設局職員を揺さぶった」とする傷害などの新たな容疑で再逮捕、現在も勾留が続いている。この「傷害」とは八月の話である。一事案の容疑で逮捕捜査中に別件での逮捕は異例だ。現場のリーダーを闘いから引きはがすために何が何でも勾留を継続しようという露骨な権力濫用に他ならない。神奈川県在住の牧師も逮捕された。沖縄に通って辺野古海上でカヌーによる抗議行動にも参加している人である。かれが拘束されたのは大和市の教会兼自宅だ。
 二十一日には山城さんの自宅と高江ヘリパッド反対運動のテントが強制捜索された。恣意的で過剰な捜査であり、反対運動を潰すことが目的の不当弾圧であることは明らかだ。
 同じ時期に八七歳の女性になされたことも許しがたい。「日本のこころを大切にする党」所属の和田正宗参院議員(宮城県選出)スタッフが辺野古で「暴力をふるわれた」という「被害届」を出したのが今年五月だった。相手は車椅子の老女だ。十月二十一日、名護警察署に呼び出された。この不当な聴取を受けているとき右翼の街宣車が名護署前におしかけ、軍歌を立て続けに大音量で流し、空襲警報を思わせるサイレンを鳴らし続けた。なんということをするのか。女性は沖縄戦のとき火炎放射を浴びて全身に大やけどを負った体験を持つ。戦争を連想させるものを何よりも嫌う。激しい動悸、震え、悪寒、吐き気を訴えて聴取は中断したという。
 だが、この右翼がやったのと同じことを、いま日本政府は沖縄の人びと全てに対して行なっているのではないか。沖縄戦の精神的後遺症は今も深刻で、生き残った方の半数以上がなお苦しんでいる。そこに新たな軍事基地をつくるという政府の行為こそ暴力である。

問われているのは本土のわれわれ

 九月二十六日、臨時国会冒頭の所信表明演説において、安倍晋三は高江のヘリパッド建設を「もはや先送りは許されません」と言い放ち、海保・警察・自衛隊へ「心からの敬意を表そうではありませんか」と呼びかけた。自民党議員どもがこれに応えて立ちあがって拍手をした。沖縄への敵意、まつろわぬ者への憎悪がここにむき出されている。かれらの予想を超えて闘いが粘り強く拡がっていることに焦燥しているのだ。山城氏逮捕も現場だけの判断ではなかろう。官邸が動いたのである。浮足立っているのは権力の側だ。
 山城博治さんを取り戻そう。問われているのは本土のわれわれだ。行ける者は高江に向かおう。それができなくとも自分たちの生活圏で行なわれている抗議行動に足を運ぼう。所属する労組、市民グループを動かそう。 【土田宏樹】

(『思想運動』990号 2016年11月1日号)