オスプレイが住宅地近くに墜落・大破
すべてのオスプレイを撤去せよ!

新基地建設を白紙撤回せよ!

           
 米軍普天間基地所属の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイが十三日夜、名護市安部から約八〇メートル沖の浅瀬へ墜落・大破する重大事故が起きた(乗員五名は米軍が救助し、うち二人が負傷とされている)。
 国内でオスプレイが墜落・大破する事故が初めて、沖縄で起きてしまった。
 垂直に離着陸する新型輸送機オスプレイは、二〇一二年に米軍普天間基地(沖縄県宜野湾市)に配備。現在、日本国内では二四機が運用されている。開発段階から事故が相次ぎ、沖縄県では配備のずっと前から反対する声が広がっていた。そして二〇一二年九月九日「オスプレイ配備に反対する県民大会」に一〇万人が結集し、翌一月には日比谷野音で沖縄の実行委主催で「オスプレイ配備撤回! 普天間基地の閉鎖・撤去! 県内移設断念! 東京集会」と銀座パレードが行なわれ、安倍首相らに「建白書」が手渡された。そこに結集した四一市町村代表の先頭に立ったのが当時那覇市長の翁長雄志知事だった。
 オスプレイはこれまで何度もその危険性が指摘され、海外では数多くの墜落事故が起きており、国内では飛行中のオスプレイからの部品の落下事件などが起きている。今回の墜落・大破事故は起こるべくして起きたものだ。堕ちることがわかっていて、沖縄へのオスプレイ配備を強行した日米政府の共犯関係は明確だ。米軍は、事故を起こしたオスプレイは沖縄本島東方の沖合三〇キロの米軍訓練区域で空中給油を実施中に、給油機のホースが切れ、プロペラを損傷したため、「不時着」したと説明する。オスプレイの飛行を一時停止することを表明した一方で、オスプレイ自体が事故の原因ではない、と強調した。
 日米両政府は事故直後から、写真を見れば一目でわかる墜落・大破事故を、制御不能ということではなく、意図してその場所に降りた「不時着」と言い換え、足並みを揃えてこの事故を隠ぺいしようとしている。
 防衛省は「不時着」とした理由について、米側が「着水」と表現していることや、五人全員が生存していることから海面に強くたたきつけられたものではない、などとし、稲田朋美防衛相は米軍からの情報を含めて「コントロールを失った状況ではなく、パイロットの意思で着水したと考えている」と言い逃れをした。
 菅義偉官房長官は十四日午前の会見で、「パイロットの意思で着水したと報告を受けている」と説明し、墜落ではなかったとの認識を示した。大手新聞各社もこれらの「認識」に沿って、軒並み「オスプレイ不時着」の見出しで報道。在沖米軍トップのローレンス‐ニコルソン四軍調整官は十四日午後、この墜落を事故現場から約八〇〇メートル西に約六〇世帯一二〇人が暮らす安部の集落を避けたパイロットたちの「意図的」で「英雄的」な美談に仕立てあげ、「沖縄の人を守るために、近くの海に降りたことは良い判断だった」とパイロットを称賛した。
 さらに沖縄県の安慶田光男副知事が、米軍キャンプ瑞慶覧を訪れ、事故への抗議文を読み上げた際は、ニコルソン四軍調整官は表情を変え、「パイロットは住宅、住民に被害を与えなかった。感謝されるべきで表彰ものだ」と強弁した。安慶田副知事が「オスプレイも訓練もいらないから、どうぞ撤去してください」と伝えると、「政治問題化するのか」などと話し、テーブルをたたく場面もあったという。何という傲慢・不遜な態度、これは植民地主義者・占領者のふるまいそのものだ。われわれは日米両政府による事実の歪曲・隠ぺい工作を決してゆるしてはならない。
 今月二十二日には、ヘリパッド建設を条件とした沖縄・高江の北部訓練場「返還」式典が行なわれる。十二日には翁長知事が欠席を表明していた。さらに翁長知事は事件をうけて「式典を開催するのは県民感情からも許されるものではない。そういうことを踏まえて物事を考えてほしい」と述べ、中止を求めるに至った。県議会議長も欠席する。
 オスプレイは横田基地をはじめ沖縄以外の全国各地に配備が予定されており、自衛隊も導入を画策している。それを止めるにも、まずはもっとも危険にさらされている沖縄からオスプレイを撤去し、普天間基地を閉鎖返還させ、オスプレイの使う高江ヘリパッド、辺野古新基地建設を阻止し、沖縄から海兵隊と基地を撤退・撤去させることこそが重要だ。たたかいの現場と結びつき、沖縄の人民とともに起ち上がろう! 【編集部】

(『思想運動』993号 2016年12月15日号)