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〈活動家集団 思想運動〉四十有余年の歩みと現在
革命的ジャーナリズムの創造を掲げ時代と格闘するわたしたちの立場


 「資本主義的近代をどのように全体としてのりこえていくか。わたしたちは現代世界の思想的課題をこの一点にまっすぐ見すえています。それは、たんにあれこれの思想家・知識人の課題であるのではなく、なによりもまず階級としての現代プロレタリアートの任務です。わたしたちがいま労働者階級の階級意識の形成と結びついた思想運動の展開をあらためて提唱し、ここにそのための活動家集団の結成を呼びかけるのは、この課題にとりくむ責任を労働者大衆自身の手に回復しなければならない、と考えるからです。また、わたしたちは、この自明の前提がたえず投げ捨てられている支配的風潮にさからって、この課題にとりくむことをとおしてマルクス主義者の主体を回復・形成していこう、と考えるからです。」この文章は、わたしたち〈活動家集団思想運動〉が、1969 年に会を結成するにあたって発した「呼びかけ」の冒頭の一文です。以来四十有余年、わたしたちは常に「呼びかけ」の精神に立ち返り、この課題の実現にむけて、一歩でも前進しようと努力してきました。

出発時の問題意識と個別的関心をのりこえた協働
 わが集団が活動を始めた 1969 年は激動の年でした。
 1917 年のロシア革命を出発点として現実化した社会主義は、第二次世界大戦後、東欧の人民民主主義革命と 1949 年の中国革命を経て世界体制をつくりあげました。資本主義と社会主義の二つの世界体制が対立する世界構造が出現したのです。しかし、アメリカを中心とする資本主義陣営は、社会主義世界体制に対抗するために新秩序の形成にのりだします。その要となったのが米ドルを基軸とする国際通貨体制(IMF体制)でした。
 1960 年代から 70 年代初頭にかけて、ベトナムをはじめとするインドシナ三国人民の民族解放闘争の前進と、全世界の労働者階級人民による国際連帯活動の高揚を決定的契機とするドル危機が進行し、それはやがて、71 年のドルの金との交換停止、いわゆるニクソン・ショックに至ります。同時に、1960 年代末は、社会主義との対抗関係に規定された第二次世界大戦後の資本主義再建の枠組みが揺らぎはじめます。日本でも高度経済成長政策が行き詰まり、社会的諸矛盾が噴出する情勢を背景に、ベトナム反戦運動が展開され、若者の反乱が労働組合運動や学生運動、反戦平和運動や革命運動と結びつき、世界的な高揚につらなっていました。1970 年の日米安全保障条約の自動延長を目前にひかえ、諸党派がみずからの綱領的見解を掲げて分岐と対立をくりかえし、覇を競い合う不毛な抗争に明け暮れていました。しかし、この一見華やかで高揚感に満たされた外見とはうらはらに、その足元では、労働者階級の階級意識の解体・風化が進行していました。支配階級は、高度経済成長政策によって労働者階級の階級意識を侵食・破壊しつづけ、日常生活に安住するマイホーム意識を植えつけてきました。1960 年代末から 70 年代初頭にかけて〝新左翼〟諸党派は、青年労働者を急進的な街頭行動へと駆り立てていたのですが、それは階級意識の解体・風化が進行する状況の裏返しでしかありませんでした。わたしたちの先達が〈活動家集団 思想運動〉を出発させたのは、1970 年代を目前にしたこうした時期だったのです。
 そしてこの「呼びかけ」に応え、政治運動や労働組合運動・婦人解放運動、学生運動、文化・芸術運動、反公害運動や科学者運動、在日朝鮮人の民主的権利を擁護する運動などを担うメンバーが、反独占・民主主義擁護と社会変革の協働したたたかいをつくりあげようと、個別的な関心をのりこえて結集したのでした。

プロレタリア国際主義の立場を貫く
 わたしたちは、活動の基軸に、プロレタリア国際主義の理論と実践をすえています。
集団を出発させた当初から流布されていた、ソ連をはじめとする「既存の社会主義ナンセンス」という風潮に抗し、社会主義体制の内部にある弱点・歴史的制約・諸困難とその克服を見すえながら、社会主義革命をめざし、また反帝民族解放闘争をたたかう世界人民との連帯を掲げつづけてきました。
 こうした観点は、日本プロレタリアートの国際主義の試金石としてある朝鮮・韓国人民との連帯活動、キューバ革命との連帯活動などに示されています。そしてそれは、現下の朝鮮民主主義人民共和国敵視政策への反対、社会主義の旗を掲げつづけるキューバ革命の半世紀におよぶ実践、それと結びついてのチャベス大統領が先頭に立つベネズエラや、ボリビア・ニカラグアなど、人民革命を推進する中南米諸国人民との連帯活動につながっています。
 1989 年から 91 年にかけて、ソ連・東欧の社会主義体制の解体という事態が起こりました。わたしたちがこれに、深い打撃を受けたことはいうまでもありません。なぜなら、この社会主義体制こそが、先進資本主義国の労働運動、発展途上国の民族解放闘争という、世界革命の三大潮流の基軸を成していたからです。ブルジョワ支配階級は、これを機に「歴史は終わった」(資本主義社会をもって人類史の最高の発展段階としたF・フクヤマの言)とか「社会主義に未来はない」といった宣伝を執拗に展開しました。ブルジョワ・マスコミと「知識人・文化人」を総動員した反社会主義のイデオロギー攻撃を前に、これまで社会主義をめざして活動してきた政治組織とその活動家や、ともに手を携えて民主的諸運動を進めてきた人たちのなかにも、社会主義の旗を投げ捨て、あるいは後景にしりぞけ、資本主義の改良に希望をつなぐことで、生きながらえようとする人たちが現われました。
 しかし、わたしたちは、社会主義世界体制の解体、すなわち反革命が勝利する以前から、そしてその後も、社会主義を強化する道を探求する立場を変えませんでした。ソ連・東欧の社会主義はなぜ敗北したのか、なぜ敗北させられたのか。わたしたちはその客観的かつ主体的要因の分析と解明にとりくんできました。敗北の原因の第一がソ連・東欧の社会主義国の共産党・労働者党の責任にあることはもちろんです。しかしその原因をこれにのみ求めるわけにはいきません。なぜならこの敗北は、国際共産主義運動と資本主義国を含む革命運動・労働運動の総体としての敗北としてあったからです。中ソ対立に象徴される国際共産主義運動の分裂や、体制間の「平和共存」という条件下における世界革命の理論構築の失敗、社会主義建設の理論的実践的未成熟、資本主義に対する警戒心のゆるみ、とりわけ不断に浸透して来るブルジョワ・イデオロギーとの闘争における後退と敗北など、原因は多岐にわたります。わたしたちの探求は、この問題についての諸外国の共産党の総括にも学びながら、今後とも継続されます。なぜなら、この探求は、再建されるべき社会主義のありようを明らかにするために、避けて通ることができない課題としてあるからです。
 わたしたちは、現代世界を、帝国主義に有利な力関係のもと、帝国主義と反帝国主義、資本主義と社会主義がせめぎ合う複雑な構造をかたちづくっている、と認識しています。
 中国・ベトナム・朝鮮・キューバなど、社会主義を防衛した国ぐには、資本主義世界経済との距離の取り方は異なりますが、それぞれの方法で社会主義の道を切り開こうと苦闘しています。なかでも、中国・ベトナムの現状は、建設されるべき社会主義の未来に複雑な問題を投げかけています。わたしたちには、社会主義に向かって世界を変革する立場から、中国・ベトナムを研究し、みずからの主張を積極的に発信する責任があります。

労働運動の階級的再生のために
 労働運動の階級的再生なしに、日本社会の真の変革はありえません。
 1980 年代以降、わが国の労働組合は、資本主義の危機のりきり策として展開された臨調行革―─「規制緩和・民営化」──攻撃とのたたかいに敗れ、総評の解体、労資一体の「連合」の結成に示されるように、壊滅的打撃をこうむりました。嵩にかかった資本は、コスト削減、利潤原理の徹底、労働法制の相次ぐ改悪をつうじて雇用の「流動化」「柔軟化」を進め、大量の低賃金・無権利・使い捨ての非正規労働者をつくりだしました。労働者階級は、組織・未組織を問わず、総体としてズタズタに引き裂かれ、一九世紀の再現を思わせる野蛮な世界に引き入れられてしまったのです。
 いま差し迫って必要なのは、分散し、孤立させられている労組活動家の結集と協働の組織化です。団塊の世代のいっせい退職が進む現在、歴史と運動の継承、新しい働き手の養成は時間とのたたかいになっています。
 1960 年の安保闘争以後、総評の解体─連合の制覇を経てこんにちの状況に至る過程で、さまざまな市民的形態でのたたかいが起こり、それはいまもくりかえしつづけられています。わたしたちは、こうした資本主義の矛盾の現われに抗するたたかいを支持し、積極的に運動に参加します。
 反戦平和の街頭運動は大事です。反(脱)原発などの個別課題にとりくむ運動も重要です。しかし、個別課題の根本的な解決に至る道は、やはり労働者階級と結んでの、社会変革のたたかいへの展望がなければなりません。労働運動が総体として弱体化したり、まして解体させられるとき、市民運動もまた力を弱められてしまう――現在の状況は、このことを如実に示しています。
 いよいよ正念場を迎える改憲阻止のたたかいを、真に有効たらしめるためにも、わたしたちは以上の基本線を手放すことなく、労働者主体の社会変革のたたかいに全力を傾けます。

文化・イデオロギー闘争とマスコミ批判の重視
 もう一つ、わたしたちは、文化・イデオロギー闘争とマスコミ批判に力を注いできました。
 マルクス主義は、政治闘争・経済闘争・文化闘争を階級闘争の三つの領域と位置づけていますが、文化・イデオロギー闘争は、ややもすると軽視されがちです。わたしたちは、集団の発足当初から、労働者の階級意識の再生には文化・イデオロギー闘争が不可欠であると考え、実践してきました。この活動は、同時に、わたしたちがめざす社会主義の内実をより豊かにし、政治が誤った方向に向かうとき、その誤りをただす能動的な役割を引き受ける主体を形成するものです。
 ナショナリズムの克服とインターナショナリズム(国際主義)の復権は焦眉の課題です。排外主義的・国家主義的言説はもちろん、「極端」なものはノー、「健全」なものならよしとするような、一見進歩風を装ったナショナリズムのさまざまな現われを、わたしたちは厳しく批判してきました。資本主義の危機の進行と、この危機を労働者階級と人民に転嫁するブルジョワ支配階級の攻撃が激しさを増すなかで、大衆意識を体制擁護の側に引き寄せるために、排外主義を煽る反動的傾向がわたしたちの四囲に立ちこめています。
 ナショナリズムはブルジョワ支配の最後の砦です。ブルジョワ支配階級と右翼勢力は、アジアをはじめ世界の人民に対する日本帝国主義の戦争犯罪を隠蔽して歴史を歪曲し、世界の反ファッショ勢力によってかちとられたポツダム宣言にもとづく戦後体制、そして日本国憲法そのものを破壊しようとするまでに増長しています。
こうした日本社会の反動化を先導しているのがテレビ・新聞・雑誌など、マスコミ巨大資本のイデオロギー攻撃です。大衆は労働者階級としての階級意識を持つことなく、無防備なままで、マスコミの思うがままの政治に翻弄されています。大衆闘争と結びついたイデオロギー闘争の展開をとおして、人民大衆のあいだに階級的な物の見方・考え方をうちたてる活動は、ポピュリズムの克服のためにも、一刻も揺るがせにできない課題です。

改憲阻止の統一戦線の形成を!
 2007 年 5 月、憲法第 96 条にもとづく改憲の手続きを定めた国民投票法が成立しました。同法は三年後の 2010 年 5 月に施行されて衆参両院に憲法審査会が設置され、2011 年から実質的な審議が始まりました。2012 年 12 月の総選挙において、自民党が衆院で単独過半数を超え、公明党、日本維新の会、それぞれと合わせても、議席の三分の二を占め、憲法 96 条で規定されている憲法「改正」発議要件を満たしています。さらに自民党などは 96 条を先行して改悪し、「改正」発議を緩和する戦略を立てています。石原前東京都知事・日本維新の会代表は、憲法尊重義務が課せられているにもかかわらず、現憲法廃棄=新憲法制定という、クーデターにひとしい暴論を吐きちらしています。
 日本国憲法は、いま、重大な危機にさらされています。朝鮮を敵視し、中国の「脅威」をあおりながらの、沖縄米軍基地の恒久化、自衛隊の公然たる海外派兵、集団的自衛権の行使、米日韓豪の共同作戦態勢の実質化など、戦争放棄と戦力不保持を規定した第九条の解釈改憲は、とめどなく拡大されています。
 わたしたちが、当面する緊急の課題としてめざしているのは、改憲阻止の統一戦線の形成です。そして、その中心となり先頭に立つべき労働者と労働組合を主体とした運動と戦線を構築し、それを強化・発展させることです。わたしたちが志をともにする人びとと協働し、国民投票法反対運動にとりくんでいるのは、そのためにほかなりません。
資本主義の危機の深化にともない、独占資本の攻撃はいっそう激しさを増しています。改憲策動もその一環です。人民が権力の手をしばる現憲法の根本原理をくつがえし、権力が人民の意思と行動を統制する国権主義の憲法秩序をきずくことは、支配階級の危機突破への賭けにほかなりません。わたしたちは、改憲阻止のたたかいをとおして、労働者階級が先導する人民主権を確立し、社会主義の未来を切り開く主体の形成をめざします。

社会主義か野蛮か、道はひとつ
 1980 年代末から 90 年代初頭にかけての社会主義世界体制の解体によって、挫折を余儀なくされたとはいえ、〈現代世界は資本主義から社会主義への全般的移行の時代である〉という時代の基本的性格が変わったわけではありません。社会主義世界体制の解体後、資本主義世界は勝利の美酒に酔いしれたのも束の間、その根本矛盾を解決できないことがすぐに明らかになりました。
 独占資本が空前の過剰資本を溜めこむ一方、労働者・人民の困窮はひどくなるばかりです。巨大な社会的生産力と、その富の私的取得という資本主義の根本矛盾は、極点に達しています。労働者・人民の窮乏化が資本主義の唯一の存在条件となる矛盾、賃労働(賃金)と資本(利潤)の対立(衝突)は、誰の目にも明らかです。しかし、資本主義は自動的には崩壊しません。資本家階級が労働者階級の強制によらないで、みずから歴史の舞台からおりることはありえません。
資本主義を、体制の枠内で「改良」する余地はもはやないのです。資本に譲歩を迫るたたかいを再建・強化しつつ、資本主義的近代をのりこえ、社会主義をめざす主体を形成すること――わたしたちはこの課題を真正面に見すえ、困難に立ち向かおうとしています。
 わたしたちは「資本主義の最高の(最後の)段階としての帝国主義」(レーニン)という資本主義観を堅持します。
 1999 年以来、ギリシャ共産党のイニシャティブのもと、共産党労働者党国際会議を発展させている国際共産主義運動再建のたたかいに学び、これに連なろうとするわたしたちの一貫した立場は、こうした基本的な観点に立つからにほかなりません。わたしたちは、「もう一つの世界は可能だ。だが、その世界は、社会主義以外ではありえない」という考えを、これからも主張しつづけます。
 ブルジョワ支配階級の攻撃に抗し、労働者階級と人民の未来を切り拓くために、課題を共有しようとするみなさんの、わたしたちの活動への協働と参加を呼びかけます。
                                          2013 年 3 月 11 日
                                 〈活動家集団 思想運動〉常任運営委員会